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多彩なカスタムフィールド

ERPNextのカスタムフィールドで選べるデータタイプと、プロパティ設定、追加手順を解説します。

7分
最終更新: 2025年9月3日

1. はじめに

ERPNextは、標準機能だけでも幅広い業務をカバーできますが、現場の要件に合わせて「項目を少し増やしたい」「入力画面を使いやすくしたい」といったニーズは必ず出てきます。

こうした要望に応えるため、ERPNextは5つのカスタマイズ方法が標準で用意されています。

🧩

1.フィールド

既存フォームに新項目を追加

📋

2.フォーム

入力画面のレイアウトや表示形式を調整

💻

3.スクリプト(Client)

入力画面の動作をJavaScriptで制御

🖥️

4.スクリプト(Server)

保存時やイベント時にサーバー側で処理を追加

🧪

5.アプリ

独立した拡張アプリとして機能を実装

  • 1.フィールド・・・既存フォームに新しい項目を追加
  • 2.フォーム・・・入力画面のレイアウトや表示形式を調整
  • 3.スクリプト(Client)・・・入力画面の動作をJavaScriptで制御
  • 4.スクリプト(Server)・・・保存時やイベント時にサーバー側で処理を追加
  • 5.アプリ・・・独立した拡張アプリとして機能を実装

この中でも、最も手軽で、マウス操作だけで業務にフィットさせられるのが「カスタムフィールド」です。
さらに、カスタムフィールドはコアのデータベースに直接カラムを追加せず、専用の tabCustom Field テーブルで管理されます。そのため、ERPNext本体をアップデートしてもカスタマイズが壊れにくいのが特徴です。
(仕組みの詳細は別記事 壊れないカスタマイズ をご覧ください。)

この記事では、

・「カスタムフィールド」で選べる多彩なデータタイプ
・実際の追加手順

をご紹介します。


2. データタイプの代表例と解説

ERPNextのカスタムフィールドで選べるデータタイプは非常に多彩です。
大きく分けると次のようなグループに整理できます。

  • ✍️テキスト系 … 文字や文章の入力
  • 🔢数値・計算系 … 数字や金額、割合など
  • 📅日付・時間系 … 納期や時刻
  • 📂選択・参照系 … プルダウン選択や既存データの紐付け
  • 🖼️ファイル・メディア系 … 画像や添付ファイル
  • ☑️入力補助・制御系 … チェックボックスやボタンなど
  • 📐レイアウト・表示系 … 入力画面の構成を調整

✍️ テキスト系

種別説明使用例
Data1行テキスト型番/電話番号
Small Text / Long Text短文・長文備考、注意事項
Text Editor / Markdown / HTML Editorリッチテキスト作業手順、マニュアル

🔢 数値・計算系

種別説明使用例
Int / Float整数/小数個数、寸法
Currency通貨金額、単価
Percent / Rating / Duration割合、評価、所要時間進捗率、レビュー、工程時間

📅 日付・時間系

種別説明使用例
Date / Datetime / Time日付・時刻納期、検査時刻

📂 選択・参照系

種別説明使用例
Selectプルダウン選択肢ステータス、優先度
MultiSelect複数選択肢ラベル、属性タグ
Link登録済みデータを紐付け顧客、商品、プロジェクト
Table / Table MultiSelect子テーブル明細行、関連付け一覧

🖼️ ファイル・メディア系

種別説明使用例
Attach / Attach Imageファイル・画像添付設計図、検査写真
Imageサムネイル表示商品画像
Signature署名入力受領確認

☑️ 入力補助・制御系

種別説明使用例
Checkチェックボックス完了フラグ、安全確認
Buttonボタン自動処理呼び出し
Colorカラー選択ステータス色分け
Barcode / QRCodeバーコード表示ラベル印字
Geolocation位置情報現場位置
Read Only参照専用自動計算結果
Password / Email / URL / Phone検証付き入力アカウント、連絡先

📐 レイアウト・表示系

種別説明使用例
Section / Column / Tab Break / Headingレイアウト制御入力画面の整理
HTML / Icon静的表示注意喚起、装飾

※ バージョンや環境により名称に違いがある場合があります。


3. ERPNextの優秀な点

特に便利なのは、次の4つのデータタイプがGUIだけで簡単に追加できる点です。

データタイプ説明使用例
Selectプルダウン選択肢を定義ステータス、優先度、工程区分
Link登録済みデータを紐付け顧客、商品、プロジェクト
Table子テーブルで明細を持たせる明細行、サブタスク、工程手順
Attach / Attach Imageファイル・画像を添付設計図、検査写真、図面

これらはERPNextの「カスタマイズフォーム」から、プログラミング不要で追加可能です。
さらに、カスタムフィールドは 専用の tabCustom Field に保存され、コアテーブルを直接書き換えません。
これにより、本体のバージョンアップを気にすることなく、“壊れないカスタマイズ” を実現できます。

従来の多くの業務システムでは、こうした項目追加にはデータベースの修正や本体コードの変更が必要で、開発工数やマージ作業が避けられませんでした。

ERPNextではその負担がなく、システム部門にとって大きな助けとなります。
例えば、ちょっとした入力項目の追加であっても、従来は外注費で数十万円単位・数週間の開発期間を要したケースが少なくありません。
それがERPNextでは社内担当者が数分で設定できるため、開発コストや運用費を大幅に削減できます。


4. カスタムフィールドのプロパティ設定

カスタムフィールドを追加した後は、入力ルールや挙動を細かく調整できます。ERPNextでは、GUIから次のようなプロパティを設定できます。

  • ❕必須項目(Mandatory) → 空欄では保存できない
  • 🔓読み取り専用(Read Only) → 自動計算結果など、編集不可にする項目
  • 🔄初期値(Default Value) → あらかじめ値をセットして省力化
  • 💎ユニーク(Unique) → 社員番号やシリアル番号など、重複を禁止
  • ⚠️条件付き必須(Depends On) → 他の項目の値によって必須化
  • 👀非表示(Hidden) → 入力画面をシンプルに保つ

こうした設定を組み合わせることで、入力ミスを防ぎつつ、業務に合ったスムーズな運用を実現できます。


5. カスタムフィールド追加の手順(例:Work Orderにコイン要素を追加)

実際に、Work Order に「コイン獲得数」と「レベル」フィールドを追加してみましょう。

  1. 対象DocTypeを開く

    • 検索バーで「作業指示」を検索して開きます
    • 右上の「メニュー」から 「ドキュメントタイプの編集」 をクリック
      カスタマイズフォーム
  2. カスタマイズフォームが表示される

    • 既存フィールドが一覧表示され、下部に「新しいフィールドを追加」があります
      カスタマイズフォーム
  3. フィールド①:コイン獲得数

    • 表示名:コイン獲得数
    • フィールド名:coin_count
    • データタイプ:Int
    • 初期値:0
    • 読取専用:はい カスタマイズフォーム
  4. 配置場所を決める

    • 項目をドラッグして Status などの下に配置します カスタマイズフォーム
  5. 保存して「更新」

    • 右上の「保存」ボタンを押し、その後「更新」
    • 実際の Work Order フォームに新しいフィールドが反映されます

    カスタマイズフォーム


6. まとめ

ERPNextのカスタムフィールドは、

手軽に追加できる拡張性

アップデートに強い設計

が大きな魅力です。

今回の例では、Work Orderに「コイン獲得数」を追加することで、現場に遊び心を加えつつ、データの見える化も実現できました。

さらに、豊富なデータタイプとプロパティ設定を組み合わせることで、業務に合わせた入力ルールを柔軟に作れます。

ぜひ、ERPNextのカスタムフィールドを活用して、現場のニーズに合わせたシステムを作ってみてください。

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