ロット番号等の命名規則 変更機能
ERPNextではロットNoやシリアルNoなど多くの番号体系を柔軟に設計できます。条件付きルールと優先度で“現場あるある”を標準機能だけで解決します。
サマリー
- ✓命名は
プレフィックス
+日付プレースホルダ
+連番
の組み合わせ。完全自由ではないが現場には十分柔軟。 - ✓条件付きルールと優先度で「製造ライン別」「月ごとリセット」などを標準で実現。
- ✓商品マスタはワークフロー承認と合わせて「未承認は非アクティブ」にでき、周知と価格決定がスムーズ。
はじめに
製造・在庫管理で必ず出てくる「ロット番号」や「シリアル番号」。
実はERPNextでは、命名規則(Naming Series)を柔軟にカスタマイズできます。
- 「製造ラインごとにロットNoのイニシャルを変えたい」
- 「顧客ごとにシリアルNoの形式を変えたい」
- 「月ごとに番号リセットしてほしい」
こうした要望に、ERPNextは標準機能で応えられます。
(他ERPではアドオンになることが多い領域です。)
命名規則の基本
命名は 固定文字(プレフィックス)+日付プレースホルダ+連番 の組み合わせ。
YYYY
(西暦) /YY
(西暦下2桁) /MM
(月) /DD
(日)#####
:連番(桁数を指定)- 例:
LOT-.YYYY.MM.-.#####
→LOT-2025.09-00001
注意:完全自由な文字列生成ではありません。
ただし、このルールだけで「営業所別」「製造日入り」「月ごとリセット」など現場の要望はほぼ網羅できます。
条件付きルールと優先度
従来の「命名シリーズ」は一律適用でしたが、命名規則は条件付きで適用できます。
条件が複数マッチした場合は 優先度(高い順) で決定。
一致がなければデフォルトシリーズへフォールバック。
使用例:製造ライン別のロットNo
以下のようにラインごとに接頭辞を切替えます。
条件(製造ライン) | 命名フォーマット | 生成例 |
---|---|---|
Kライン | K-.YYMMDD.-#### | K-250901-0001 |
Lライン | L-.YYMMDD.-#### | L-250901-0001 |
効果:番号だけでラインが即分かる/トレースが楽/棚卸や不良解析がスムーズ。
よくある要望と解決方法
私が導入支援でよく聞く事例も、標準機能で漏れなく解決できます。
-
要望:製造ラインごとにロット番号を変えたい
解決方法:条件付きルールでライン別に接頭辞を設定。
例:K-.YYMMDD.-####
、L-.YYMMDD.-####
-
要望:月ごとに番号をリセットしたい
解決方法:YYYY.MM.-####
を採用すれば、実質的に月単位でリセットされた系列に。 -
要望:商品コードを品種ごとに整理したい
解決方法:Item Groupごとに別シリーズを設定。混在と重複を防止。
ワークフローと合わせた“現場運用”
命名規則は番号付けだけでは終わりません。ワークフローと組み合わせると運用が締まります。
- 営業が商品マスタを作成 → 「承認待ち」
- 管理が内容を確認(販売単価・系列・担当部署の周知) → 「アクティブ」 で利用開始
- 未承認のまま運用に出ないため、価格決定のミスや周知漏れを抑止
これで「登録はされたが未承認の品番が流通してしまう」問題を回避できます。
FAQ(正直ベース)
Q. どれくらい自由に設定できますか?
A. 完全自由ではありません。プレフィックス+日付プレースホルダ+連番の組み合わせです。ただ、条件と優先度を使えば現場の要望はほぼ実現できます。
Q. 既存データの系列を途中で変えると?
A. 並びが不自然になることがあります。導入時に設計を固め、途中変更は最小限に。
Q. 名称や品名をそのまま番号に入れたい
A. 標準の命名規則では非推奨(長文化・ブレやすい)。分類はItem Groupなど別フィールドで表現するのが実務的です。
まとめ
- 命名規則は部品の組み合わせだが、条件+優先度で現場には十分柔軟。
- ライン別ロットや月次リセットは標準で実現。
- 商品マスタ承認ワークフローと合わせると、価格決定と部門周知まで安全に回せる。