オープンソースの理由
ERPNextはなぜオープンソースなのか?創始者の考えから、経済的な合理性、Frappe社のビジネスモデル、利用者が得られる4つのメリットまで分かりやすく解説します。
なぜERPNextはオープンソースなのか?
ERPNextは、無料で使えるオープンソースERPの代表格です ERPNextのソースコードは、そのすべてが GitHubで公開↗されています。 誰でも自由にコピーしたり、利用したりできるのです。
普通のソフトウェア会社なら、収益を守るためにコードは厳重に隠します。 では、なぜERPNextはあえてオープンにしているのでしょうか?
創始者の原点:Linux精神とERPNextのオープンソース哲学
ERPNextの創始者は、最初から 「閉じる理由がない」 と考えました。
自分だけで作り込むよりも、世界中の仲間と知恵を出し合った方が、早く良いものになるからです。
これは単なる「趣味の延長」ではなく、成長の最短ルート を選んだ結果です。
Linuxが「オープンだから世界標準になった」ように、ERPNextも「オープンにすることこそが世界に広がる力になる」と考えられました。
オープンソースERPの経済合理性:共有知がもたらす力
もしERPを1社だけで作ろうとすれば、莫大なコストがかかり、改修のスピードにも限界があります。
一方で、オープンソースのERPNextは世界中のユーザーや開発者が日々改善を持ち寄り、結果として次のメリットを生み出しています:
- 🚀 開発スピードが速い(一社開発の数倍のペース)
- ✅ 品質が高い(世界中の利用者によるレビューとフィードバック)
- 💰 コストが低い(ユーザはライセンス料ではなく、導入や運用にだけ投資)
オープンソースは「無料だから」ではなく、「最も効率的に優れたものを作れる経済モデル」 なのです。
Frappe社の収益モデル:ERPNextを支える仕組み
多くの人が疑問に思うのは、
「ではFrappe社はどうやって利益を出しているのか?」 という点です。
答えはシンプル。Frappe社は「ソフトそのもの」ではなく、価値のあるサービス によって利益を得ています。
- ☁️ Frappe Cloud:クラウド上でのホスティング、保守、バックアップなどを月額課金で提供 (月200$ ~)
- 🛠️ カスタマイズ支援:企業ごとの要件に合わせた機能追加や導入コンサルティング
- 🤝 公式サポート契約:エンタープライズ向けの安心サポート(年 21,500 $~ )
つまり、ソフトウェア本体は自由に使えるが、運用・拡張・安心サポートは有償 というモデルです。
これはRed Hat(Linuxの商用サポート企業)と同じ仕組みで、すでに世界で実証された持続的ビジネスの形です。
もし時間があれば、創始者 ルシャブ・メータ さんの ブログ記事 をぜひ読んでみてください。
彼の志と哲学の深さにきっと感銘を受けるはずです。
MyHaTchのご提供するサービス
公式クラウド(Frappe Cloud)は最寄りリージョンがシンガポールのため、日本から利用するとレイテンシ(遅延)がやや大きく、料金もやや高めです。
そこで MyHaTch では、日本のお客様向けに 東京リージョン でのホスティング環境をご用意しています。
- 💻 月額 10,000円(30ユーザまで)~
- 🌏 日本国内(東京リージョン)で高速・安心
- 🔧 必要に応じて導入支援・カスタマイズも対応
「低コストで、日本国内の安心環境でERPNextを使いたい」
そんな企業に最適なのが MyHaTchのERPNextサービス です。
ERPNextをオープンソースで利用する4つのメリット
1. ライセンス費用ゼロ
ERPNextは利用するだけで費用がかかる「ライセンス料」が一切不要です。
一般的なERPはユーザー数や機能追加に応じて高額なライセンス料が発生しますが、ERPNextならその負担がありません。
👉 だからこそ、企業は導入や運用改善にコストを集中でき、限られた予算を最大限活かせる のです。
2. 透明性と安心感
ERPNextはソースコードがすべて公開されています。
そのため、人間の開発者だけでなく ChatGPTのようなAIもコードを理解し、解説や改善に活用 できます。
「この機能はどう動くの?」とAIに聞けばすぐ答えが返ってきて、保守や開発のスピードが上がります。
一方で「公開したら脆弱になるのでは?」という誤解もあります。
実際は逆で、公開されているからこそ世界中の目で常にチェックされ、セキュリティはむしろ強化される のです。
クローズドなシステムこそ、不具合が隠されて修正が遅れるリスクを抱えています。
3. 自由なカスタマイズ性
ソフトウェアには物理の制約がありません。
ソースコードさえ公開されていれば、あなたが思いついたことをほとんど実現できます。
たとえばERPNextを「家」だと考えてみましょう。
- 部屋を全面ガラス張りにする
- 家全体を地上100mに浮かべて高速エレベーターで出入りする
- 画面デザインをシンプルなミニマリスト風にも、宇宙戦艦ヤマトのコックピット風にも変える
こうした自由な発想も、ソースコードを改変できれば可能です。
さらに、
- 不具合があっても「仕様です」で終わらず改善できる
- クラウドでもオンプレミスでも選べる
- 強制的な値上げをするベンダーから、誠実なパートナーへ自由に乗り換えられる
👉 つまり 何から何まで自由に選択できる のがERPNextの強みです。
4. コミュニティの力も借りた、世界規模の進化スピード
ERPNextは GPLv3ライセンス に基づいたオープンソースです。
GPLv3とは「ソフトを自由に使ってもいいし、改良してもいいし、その成果をみんなで共有しよう」というルールです。
(詳しくは次の章「GPLv3ライセンス」で説明します。)
この仕組みにより、世界中のユーザーや開発者が毎日改良に参加し、その成果がオープンに公開されています。
だからERPNextは、常に最新・最良の状態に進化し続ける のです。
一社だけの力に依存するのではなく、グローバルなコミュニティ全体の知恵を取り込める のが大きな強み。
利用者はその恩恵を直接受け、時代に取り残されることなく最新のツールを使えます。
この広がり方は、Linuxや携帯のAndroid OSが世界に普及していった流れと同じであり、
ERPNextも同じ道を歩んでいます。
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次は、ERPNextのオープンソースのライセンス形態、GPLv3ライセンス について説明します。